「なんだよ……これ」
目の前で起こった非現実的な現象に青年は自分の目を疑う——暇も無く、怪物と化した男の肩部から伸びる何本もの管を束ねたような器官によって、喉元を拘束される。
青年はそのままギリギリと締め上げられ、やがて足先は宙を掻き身体の自由を奪われていく。必死に管を掴んで拘束を解こうとしても、生物的な力量差を感じさせる程にビクともしない。
「つまらんなァ。人間を辞めてまで待ち詫びた復讐がこんなに拍子抜けだと」
意識が薄れる中、そんな怪物のくぐもった声が最後に届く——次の瞬間。
背に叩きつけられた衝撃を境に青年の意識は闇に沈んだ。
#7
