あらすじ
「押掛徹」
山なりに整えられた顎髭を拵え、隆隆とした厚みのある体躯を見るからに高級な黒のダブルスーツに封じ込めている男の名前は、紛うことなき偽名だったが、アマネは深く追及しなかった。
というのも彼こそが『京州飯店の店長』すなわちこのくだらないショバ代集めをしている組織のボスだったからだ。
町中華の店長には似つかわしくない風貌に、やはり”見せかけだけの飲食店”となってしまっていることを確信するアマネ。
部下を殺されて怒り心頭か? それとも組織の汚点を残さないべくボス直々に私を始末しに来たか?
アマネの脳裏にいくつもの仮説が過ったがいずれにせよ危機的状況には変わりない。
アマネは能力を再行使する手段も、体力もない満身創痍な状態にもかかわらず臨戦体制を取ろうとしたが、押掛は彼女を一瞥した後”デリバリー”と呼んだ男の死体を革靴で踏み乱暴に転がすと意外な一言を放つ。
「お前、飯店に入らないか?」
果たしてアマネが出した答えは--

