——何、三週間ほど休んでから働きたいだと? 別にノルマさえ達成してくれりゃ構わねぇよ。久々の自由の身だろうし気持ちも分かる。ましてや十代だしな、ゆっくり羽伸ばしてきな。
放火後アマネは押掛から社宅の鍵を明け渡してもらった時、一つ約束を取り付けていた。
押掛は特に難色を示す事もなく、同時に貸与した携帯端末の常時携行を唯一の条件として承諾してくれた。まあ承諾と言っても求人通りの勤務体系ではあるのだが。
「五ツ噛。お前はかなり頭のキレる奴だろうから先に言っておくが、俺はこの端末でお前の現在地を把握するし社宅には監視カメラと盗聴器を仕掛けている。これから罪の帳消しをしてやる俺を失望させるようなことはくれぐれもするなよ?」
押掛は去り際にそう釘を刺すと、乗り付けていた黒い車に戻り、まだ仄明るい夜の世界へと消えて行った‥‥
かくして、不良少女には贅沢すぎる華の二十一連休を手に入れた五ツ噛アマネ。
そんな彼女が最初に向かった先は、スイーツ店や遊技場でも無く『岡持医院』という下町にある小さな診療所だった——

