あらすじ
「塀の中の方が長生きできたね」
動かなくなった茅蕗を前にして、自身も活動限界に迫っている状況にありながら、アマネはつい自嘲めいた皮肉を口にする。
息も絶え絶えなアマネの言葉を遺言と受け取った男は、朱色に染まった出前箱を高く振り上げる。
しかし、その言葉は茅蕗ではなく男に向けられた言葉だった--
勝利を確信した男の顔を尻目に、アマネは茅蕗が最後の力を振り絞って授けたペン型の器具を握り締めると一思いに自身の胸部へと突き刺した。
中に入った液体がアマネの体内へ溶けていく。体温が上がり五感の冴えを自覚し始めたその直後、彼女の頭を砕こうと振り下ろされていた出前箱が男の腕ごと宙を舞う。
想定外の逆襲に呆然とする男の目に映っていたのは、腰部から深紅の尾を発現させ、苦痛に咽び表情を歪めたアマネの姿だった。

